退職した元管理職の社員から未払い賃金請求された事例
- 2023/8/25
- 2023/7/14
元人事総務の責任者
総務の課長であり、部下もいる責任ある立場にあったAさんは、会社としては管理監督者に当たるとしていわゆる残業代は支払っていませんでした。社長からも信頼が厚く、一般的な従業員よりも待遇をよくしていたため、特に在職中に不満を漏らすようなこともありませんでした。
長時間勤務と激務のため退職
Aさんは責任感の強い社員であったため、長時間労働も辞さず、また部下の一人一人のマネジメントもこなしつつ、自分でも事務作業等の実務を積極的にこなしており、またその能力もありました。仕事が出来て面倒見も良いということで、沢山の社員から頼られる存在であり、それに応えるために無理をしてしまい、体調を崩し、退職することとなりました。
突然の内容証明郵便
Aさんが退職してから2か月が経った頃、弁護士から会社宛に内容証明郵便が届きました。その内容は、過去2年分(現在は賃金の消滅時効は3年となっています。)の未払い賃金の請求でした。会社としては、当然にAさんは管理監督者に当たると思っていたため、晴天の霹靂でした。
しかし、その仕事内容を分析してみると、待遇に比べて労働時間は長く、またマネジメントよりも実際に実務を行っている割合の方がおおきい等、管理監督者ではないのではないか、という疑念が生じました。
会社の方針
会社としては、Aさんは非常に良く会社に尽くしてくれたこともあり、強く争うことはしたくありませんでしたが、Aさんが管理監督者に当たるとされてしまうと、波及効果が多きすぎるため、まずは争う方針を採りました。
請求を受ける側の場合は、まずは争う姿勢を見せることから交渉が始まります。
Aさん側も裁判や労働審判まではしたくはなさそうであるとみえたので、請求金額の半額を支払うことで解決しました。それでも大きい金額でしたが、管理監督者であると認定されてしまうと、満額の支払いが命じされることになってしまい、またAさんと同じ立場の人にも未払い賃金を支払わなければならないことになるため、慎重な交渉が必要でした。
マネージャーや課長レベルを管理監督者としていないか?
管理監督者であるといいながらマネジメント以外の業務が多くないか?
管理監督者になる前と同じくらいの給料ではないか?
監修者プロフィール
弁護士法人エース 代表弁護士
成田 翼
- 経歴
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明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
第一東京弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員