労務

企業における労務管理の重要性

企業は、社会生活上、自然人のように一つの人格として扱うというように法律で定められており、そのため、法人と呼ばれます。しかし、これはあくまで外との関係で必要性があってこうなっているにすぎず、やはり企業は沢山の人の集まりです。

 その一人一人は性別はもちろん、能力も性格も体力も大きく異なります。世の中には本当に色々な人がいます。その一人一人のニーズと会社のニーズを合致させることは非常に難しく、ほとんど不可能です。

 そこで、法律が最低限守らなければいけない枠を作って、その範囲で企業と労働者の利害を調整しているのです。言い換えれば、最低限、これに違反してはいけないという範囲を定めることによって、一応、お互いのニーズを合致させてくれているのです。もちろん、企業も従業員もその法律が定めるルールに満足しているわけではないと思いますが、最低限、これに違反してはいけないということが決まっていることで、バランスが保たれているのです。

弁護士に相談すべき労務問題とは

解雇・雇用に関する問題

従業員を募集・採用する際にはあまり問題にはなりませんが、退職に際しての貴重と労働者が法的なトラブルになることは多くあります。

特に、従業員が、その意に反して辞めざるを得なくなった場合等には顕著です。辞めさせたはずの従業員が会社に戻ってきてしまうことすらあり得ます。

退職に関するトラブルにおいては、退職に至るまでに企業がどのようなアプローチを取っていたかが重要ですので、弁護士と相談しながら慎重に事を運ばなければなりません。

残業代請求への対応

従業員から残業代を請求される場合でも、元従業員から残業代請求をされる場合であっても、他の従業員へ派生する可能性もありますし、賃金未払いについては法律が雇い主に対する刑事罰を定めていたり、裁判所の判断で未払い賃金と同額の支払いを命じることができる付加金制度など、労働者の保護が特に手厚くされているところでもありますので、迅速な対応が求められます。

労働組合・労働基準監督署への対応

法的な要件を備えている労働組合から交渉を申し込まれた場合には、基本的には企業はこれに対して誠実に対応することが求められます。

労働組合は労働者の利益の代弁者ですから、概してその対応を誤ると労働者全体を敵に回しかねず、その対応に苦慮することが多くあります。

また、労働基準監督者からの調査や、法律違反に対する指導への対応も迅速かつ真摯に行う必要があります。調査への同席や対応についての検討も弁護士と相談しながら行っていくべきです。

労働災害の問題

工場や現場での仕事での労災の問題は頻繁に発生します。仕事そのものに一定の危険が内包していますから、避けられない事故もあります。

しかし、労働法制やその他技術の発達により、避けられたであろうと言われる事故の範囲は広くなってきていますし、少なくとも企業側の義務は細かく定められています。

怪我は当たり前、という気持ちが企業側にあることも多くあり、真摯に仕事の内容や工場・現場の状況に鑑みて、労災を防止するために必要な措置を採っておく必要があります。

ハラスメント問題

伝統的なハラスメント類型であるパワーハラスメントやセクシャルハラスメントに加えて、様々な類型のハラスメントが出現しています。

高度成長期に端を発するプライベートを犠牲にする、あるいはプライベートとの境のない仕事が当たり前という時代は終わり、職場ではあくまで業務に必要であり適切なやり取りしかしてはいけない、という流れになっています。この流れが正しいのかはさておき、どのような言動がハラスメントと言われかねないのか、企業側で認識しておく必要があります。

その他労務管理

まずはトラブルが発生する前からどういう場合にトラブルが発生する可能性があるのか、トラブルが発生した場合のリスクやコストは何なのかについて企業側が平素から正しく認識していく必要があります。

そのためには、弁護士と日常的な打ち合わせや幹部向けへの研修会等、労働法務に対する感受性を底上げしていく必要があります。

企業の労務管理を弁護士に相談するメリット

正しい法律知識に基づく助言をもらえる

何かが発生したときに、どうなるのかについて正確な認識を持っていれば、ほとんど問題は解決していると言えます。まずは弁護士と現状を的確に把握して今後の見通しをつけましょう。

交渉や書類作成をサポートしてくれる

交渉も契約書や通知書等の書面作成も知識と経験がものをいうところです。非常にデリケートなところです。

実際のところ、一歩間違えると取り返しが付かないことになる場面が多いわけではないのですが、やはり餅は餅屋であり、ここが弁護士の本領ですので、無理せずに相談しましょう。

労働審判や裁判に発展しても対応できる

日常的に企業側と弁護士とのやり取りがあると、裁判や訴訟になってしまった場合にも事情共有がスムーズにできます。

企業の法務担当者との人間関係ができていると、ストレスなく問題解決に力を注げるので、トラブルが発生する前から弁護士とは関係を作っておくべきだと思います。

労務問題に適切に対応しなかった場合のリスク

支払い義務や復職の義務を負う

労働者側から何かの請求をされた場合、それを放置していたり、法的に意味のある反論をしなければ、労働者側の主張が認められてしまい、その結果、労働者に対して多額の金銭支払い義務や、退職させた労働者を復職させないといけなくなってしまったりする不利益を負いかねません。

優秀な人材の離職を招く

企業内の法務自体が利益を生むことはなく、企業としてはどうしても後手になってしまうところではありますが、企業が法的に適切な労務管理を行うことによって、優秀な人材が安心して健康に働ける環境を作ることができます。優秀な人材であれば、あえて過酷で劣悪な環境で働かなくても、いくらでも働き先がありますから、せっかくの従業員に長く務めてもらうためにも労務管理は適切に行うべきです。

会社の評判に影響する可能性がある

昨今は、インターネットの普及によって、一般個人のSNS等への投稿によって会社の評判が下がってしまうリスクというのが非常に大きくなってきています。

いわゆるレピュテーションリスクの問題です。これは現代社会においては軽視できないリスクで、社員が他の社員に対して一言ハラスメント発言をしてしまったことが社外に拡散されて問題になってしまうということも十分ありうる話です。問題が発生すること自体を100%防ぐことは難しいですが、企業として、従業員に対して適切な指導をすること、問題が発生してしまった場合には迅速かつ真摯に対応することが肝要です。

労働組合のストライキに発展することもある

従業員の労働環境があまりに劣悪な場合、労働組合が組織されている場合には、多数の従業員からストライキを起こされる等、企業運営に著しい支障が生じかねない事態に発展する可能性もあります。

日本では、海外に比べるとストライキ等、労働者が団結して企業に対して強いメッセージを発する場面というのが多いわけではありませんが、リスクとしては念頭に置いておくべきです。

労働基準監督署からの行政処分・指導

従業員が労働基準監督署へ申告をする場合だけでなく、労働基準監督署から抜き打ちの調査が入ることがあります。軽微な違反であれば、まずは指導、それでも企業側が指導を無視して労働環境を改善しない場合には行政処分や刑事処分等が科されることになります。

行政処分も刑事処分も非常に重たい処分であり、健全な企業であればまず避けるべき事態です。

上場審査・承認の廃止等

上場審査においては、労務管理の適切さが最も重要視されるといわれており、また昨今の働き方改革による法改正への対応など、この分野における会社側のタスクは多くハードルも高いです。

万一、労務管理の不備がある、あるいは従業員とのトラブルが存在している場合には、上場に待ったがかかってしまいます。

上場を見据えて、規則の制定や労務管理を弁護士と適切に進めていく必要があります。 上場後においても、労務管理の不備をはじめとする重大な法令違反により上場廃止とされる可能性があります。
この場合、莫大な損害が生じることは容易に想像できます。

労務問題を弁護士に依頼するときの報酬体系

タイムチャージ制

大規模事務所が大企業の顧問になる場合、タイムチャージ制を採ることがあります。

企業側に十分な資金があり、また結果ももちろん、それよりも適切な手続きを行ったかどうかを重視する傾向にあるため、費用対効果よりも、とことんできることをやってほしいという場合はタイムチャージ制がマッチします。

着手金・成功報酬制

タイムチャージ制は、弁護士報酬が高くつくことが多いですし、また費用対効果を度外視する傾向にある制度なので、どちらかといえば例外的ではないように思います。

そのため、着手金と報酬金を定める方式が多いと思います。成功報酬制かどうかは場合によりますが、相手に弁護士が付いている場合、法的な根拠があって請求してきていることが多いため、そもそも原理的に勝てない可能性も高いため、完全成功報酬制を採用することもあまり多くないように感じます。

労務管理を弁護士に依頼するときの選び方

  • 労務に精通した弁護士か

  • 企業側の考え方を理解してくれるか

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