気がつけばここに辿り着いていた
「弁護士」という仕事に強い憧れを抱いていたわけではありませんでした。
両親と祖父母の愛情を受け、特に不自由を感じることなく育ってきた私は、やりたいことをやり、期待されることをやる、という環境のなかで生きてきました。
そんな期待を挫かれたのが大学受験でした。それまでは、大抵のことをちょっとした努力で乗り越えてきたのですが、持ち前のちょっとした努力では、さすがに大学受験はなんともなりませんでした。望む志望校、期待される志望校に進めないという、私にとっての大きな挫折でした。
大学に入ってからいつも考えていたのは、この人生の挫折をリカバーする方法でした。父に勧められ、たまたま選択した法学部で、私は、安直に、一番上の資格を目指すことを決めます。
ただ、挫折のインパクトは大きく、「2回やって無理だったら諦めよう」、そんな気持ちをいつも傍らに置いていました。2回目の入試でロースクールに進学し、2回目の司法試験で合格し、今日まで、少しずつ「できるところまで」を繰り返してきました。
この繰り返しの経験が、今の「弁護士」という私を形作っています。